怪談
学生の時、クラブの合宿に行きました。
その宿泊施設は深い山の中にありました。
夕食後、男子と女子、数人で一階の食堂に残って話をしていました。
めったにそんな機会がないので、話が盛り上がりました。
とはいえ、夜中の2時ごろになると、さすがに話題がなくなってきました。
その時、一人の男子がちょっと怖い話をしたのです。
すると、みんなの話題は金縛(かなしば)りの話になりました。
話は友人が心霊スポットへ行った時のことになり、
テレビで見た心霊写真、心霊ビデオの話になりました。
すると、男の一人が
「こんな話をしてると霊が集まってくるんだよねぇー。」
と言い、もう一人が
「俺、聞いたことがあるんだけどさぁ。このへんって戦争の時、韓国人を強制的に連れてきて、工事させたんだって。
でも、ご飯もロクに食べさせないから、ほとんど死んじゃったんだって。
それで火葬場の石油がもったいないから死体は土に埋めたんだってさ。
そんな人が出てこないといいね。」
と言いました。
「この窓をバックに写真撮ってプリントすると、真っ黒い顔したやつらが集まって、窓の中を見てたりするんだよねー。」
外は風が吹いています。その時、
カサカサカサッ・・・・・・・カサカサカサッ・・・・・・・・・・・・・
と、かすかな音がしました。
さっきの男子が、指を口にあてて
「シィーー・・・・今、外で足音がしなかった?」
「そんなのするわけないわよ!」
「シッ!ちょっと静かに・・・・・・・」
その時、一人の女の子が窓の外を指さし叫びました。
「キャーアアアア!!」
女の子はみんな絶叫しました。
机の下へ入ろうとした子の一人は、頭をぶつけてコブをつくる。
机の上の皿は床に落ちる。
「誰かがフワフワ通ったよおっ。」
泣き出す子もいます。
パニックがみんなを支配しました。
その時、僕の背後で
「ガラガラガラガッ!!」
男子の一人が窓を開けたのです。
「蛾(が)だよ!蛾!さっきから何匹も飛んでたんだよ。ほら、こっちの電燈に集まってる。
誰もいないよ。風で草がカサカサいってんだよ。」
その男子は言いました。さっき韓国人の話をした男子は
「さっきの話はウソだよウソ!そんなのは日本軍の基地だったところの話だよ。
こんな狭い山の中に基地も滑走路も作れるわけないじゃん!あははははー!」
と笑いました。
それから、友人にだまされた笑い話が、ひとしきり続き、
みんな眠りにつきました。
翌日、ウソをついた男子は、ランニング中に転んであごを割って入院しました。
宿舎の隣の「高麗神社」が
豊臣秀吉の朝鮮征伐(せいばつ)で、奴隷(どれい)として連れてこられて亡くなった人の霊を祀(まつ)るものだと僕が知ったのは、
昨日テレビを見ていた時のことでした。
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